- 2026年6月30日
胚盤胞の成長について
こんにちは。今回は培養部が担当させていただきます。
梅雨も本格的に始まり、じめじめとした日々が続いておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
先日、移植する際にグレードが変わることについてご質問がありました。たしかに胚盤胞が大きくなる過程について言葉ではイメージしにくい部分もあるかなと思いますので写真を添えて簡単に紹介させて頂ければと思います。
まず、胚盤胞まで育った受精卵は以下のように大きく成長していきます。左上の数字はGardner分類において胚盤胞の大きさを表すステージと呼ばれるものです。

桑実胚と呼ばれる状態から中心に胚盤胞腔ができ、胚が縮んだり膨らんだりを繰り返しながら次第にパンパンになるまで膨らんでいきます。
胚の周りには透明体という胚の殻のような膜があり胚本体を保護していますが、着床するためには透明体から胚本体が外に出てこなければなりません。透明帯から脱出する過程をハッチング(=孵化)と言い、この過程が下の写真になります。
上の④のパンパンに膨らんだ胚盤胞をしばらく観察しているとこのように急激に収縮をします。するとこの縮む圧力によって左下の白丸に囲まれた部分に穴ができます。この胚が回復をしてくるとこの穴から胚が外に出てき、脱出となるわけです。

移植の際は、午前中に融解をし、午後に移植を行います。ステージの③や④で凍結された胚は融解時もこのステージであり、移植までの数時間の間に回復をしていきます。この時、観察を行うタイミングによって収縮している状態であったり、そこから回復し脱出している状態であったりと差が出てくるということになります
ということで、ご質問のお答えとして、移植当日のご説明時にグレードが変化するというのは、胚の良し悪しと必ずしも一致しているというわけではなく、このようなダイナミックな動きの一端を見ているにすぎないのでご安心していただいて大丈夫です、ということになります。
さて余談として、雨の日や猛暑となりますとなかなか屋内に籠りがちになりますが、そんな時こそリフレッシュに美術館や博物館に足を運んでみるというのはいかがでしょうか。
自分は先日、国立西洋美術館で行われていたチュルリョーニス展、と同時に開催されていた葛飾北斎展に行ってきました。

チュルリョーニスはリトアニア出身の画家、作曲家で独特な世界観の作品を作られていた方です。
平日だったのもあり、空いていてゆっくりと鑑賞することが出来ました。展示も様々な工夫が凝らされていて、近づいて見たり離れて見たり回っているうちに、絵本のような不思議な世界観に入り込んでしまい、あっという間に時間が過ぎていきました。
一方の同時開催されていた北斎の展示はというと、大きな部屋の壁一面に富嶽三十六景がずらっと並んでいましたが、チュルリョーニスとは対照的にあふれんばかりの人が入っていて、さすが教科書に載っている人だなと思うと同時に、摺る時代によって使われた色の変遷だったり裏から見えるような展示もあったりで、よくあるキャンパスに描かれる絵画とは違った版画の面白さを知ることができました。
今後、ルーブル美術館やレンブラント、モネの特別展もあるようですし、またふらっと常設展を訪れるのも涼みながらゆったりできるのではないでしょうか。また、展示を見ながら回ると意外と距離もあるので、ちょっとした運動にも良いかもしれませんね。
今年の夏は平年より高温になると言われておりますので、皆様ぜひお体に気を付けてお過ごしください。
培養部 S.K.