- 2018年7月27日
液体窒素タンクのご紹介
こんにちは、培養部です。
先日、大宮で行われた日本卵子学会学術集会に参加してきました。私と同じ培養士以外にも、医師、研究者など様々なバックグラウンドを持った方々の発表があり、大変勉強になりました。
学会に参加するたびに新しい発見があり、この分野の変化のスピードには毎回驚かされます。今後も積極的に参加して常に情報収集をしていかねば、と思っています(`・ω・´)
日暮里レディースクリニックに通院する皆さんが1日でも早く卒業できるよう、業務に生かしていきたいです。
さて、話は変わりますが、培養室に新しく液体窒素タンクが1台増えたので、この機会にご紹介したいと思います!
牛乳タンクのような見た目ですが、患者さまからお預かりしている凍結胚や精子を保管するのに欠かせない、大切な容器です。中はバナナを一瞬で凍らせて釘を打つ実験?でお馴染みの、液体窒素という-196℃の超・低温の液体で満たされています。
液体窒素は常に気化していて、液体から気体になると体積が650~800倍にも膨らむので、容器を密閉すると爆発してしまいます。そのため、蓋はこのように上にかぶさっているだけになっています。
タンクの蓋を開けると、キャニスターと呼ばれる筒状のお部屋が6つに分かれて沈んでいます。
キャニスターを引き上げると、胚や精子の入れ物を収納する「ケーン」と呼ばれるものが見えてきました(赤矢印)。
ひとつのキャニスターに50本ほどのケーンが入ります。
このケーンは、患者さま一人ひとりのお名前とIDによって識別されています。
取り違いがあってはならないので、出し入れするときは必ず2名の培養士でダブルチェックを行っています。
ケーンの中には、緑色の細い棒状の「クライオトップ」と呼ばれるものが入っています。
1本のケーンに4本のクライオトップが入ります。
クライオトップを取り出して
外筒をはずすと・・・
幅1ミリくらいの透明な部分(赤矢印)があるのですが、ここに胚がちょこんと乗って凍結されています。
もちろんこれはダミーで何も乗っていませんのでご安心ください!
液体窒素の中で凍結されている胚や精子は、理論的には半永久的に保存できるといわれています。ヒトの胚では1983年に初めて凍結胚を融解移植して妊娠・分娩に至りました。それからまだ35年と案外歴史の浅い技術ですが、今では世界中の施設で行われています。
本日はそんな、現在の生殖補助医療に欠かせない名脇役?である、液体窒素タンクのご紹介でした!
培養部 IIJIMA