- 2020年1月29日
- 2026年9月8日
胚のグレードとは|初期胚のVEECK分類・胚盤胞のGardner分類の見方
胚のグレードは、受精卵の形態を評価した指標です。初期胚はVEECK分類、胚盤胞はGardner分類で評価します。グレードは妊娠率と相関があるため、妊娠しやすい胚から順に移植することで、治療にかかる時間のロスを抑えられます。
グレードをつける理由
受精卵=胚には1個1個それぞれ成長に差があって、その成長速度や形態に違いが現れます。その成長具合の良し悪しによって、これまでのARTの過去のデータを基にした統計と照らし合わせると、その形態ごとの妊娠率が分かります。つまりそれぞれの胚の質、優劣が分かるため、妊娠しやすい胚から移植していくことによって時間的なロスを無くして効率化できます。
ARTを受ける患者さんにとって、とくに女性側の年齢は卵子の質にかかわりますので、時間的なロスについてはシビアに考える必要があります。その意味でもグレードなどの指標によって効率化を考えることは重要です。
胚を凍結するタイミング
体外受精では、「採卵」後に受精操作(ふりかけ法または顕微授精)をして、受精したことを確認した胚を6日間、培養庫で培養します。そしてそのまま分裂を続けて、5日目または6日目頃に「着床」の準備ができた「胚盤胞」に成長するので、この時点でいちど凍結保存します。ARTの治療方針によっては培養開始から3日目程度の若い胚(初期胚)で凍結することもあります(この場合、おなかの中で胚盤胞になった後、着床します)。
凍結の際に、VEECK分類とGardner分類といったそれぞれの分類方法で胚の評価をします。初期胚はVEECK分類、胚盤胞はGardner分類を使います。
VEECK分類(初期胚の評価)
初期胚の評価基準は次の2点です。
- 分割した細胞が均等に分かれているか
- フラグメンテーション(細胞が断片化したもの)がないか
このグレードが良くないと妊娠率が低くなります。

Gardner分類(胚盤胞の評価)
胚盤胞の成長段階1-6の数字(胚のステージ)と、ICM(将来的に胎児になる部分)とTE(胎盤になる部分)の形態的な評価をA〜C(良〜不良)ランクをつけてグレードとします。こちらも妊娠率と相関があり、年齢によりますし、グレードにより成績に差があります。当院の実績は「当院の治療成績」ページでご覧いただけます。胚の培養環境については「タイムラプス培養(先進医療)」ページをご覧ください。

これらの分類法はあくまで成長した胚の形態だけをみて評価をするのですが、かなり以前から世界的にも使われており、実績のある評価法であるため、現在でもほとんどの不妊治療施設で使われています。
移植当日にグレードが変わることがある理由
移植の際にご説明するグレードが、凍結時のグレードと違っていることがあります。これは胚の良し悪しが変わったのではなく、胚盤胞が縮んだり膨らんだりを繰り返す動きの一場面を見ているためです。
胚盤胞まで育った受精卵は、桑実胚と呼ばれる状態から中心に胚盤胞腔ができ、胚が縮んだり膨らんだりを繰り返しながら次第にパンパンになるまで膨らんでいきます。胚の周りには透明帯という殻のような膜があり胚本体を保護していますが、着床するためには透明帯から胚本体が外に出てこなければなりません。この過程をハッチング(孵化)と言います。


パンパンに膨らんだ胚盤胞をしばらく観察していると、急激に収縮します。すると縮む圧力によって透明帯に穴ができ、胚が回復してくるとこの穴から外に出て、脱出となります。
移植の際は、午前中に融解し、午後に移植を行います。ステージ③や④で凍結された胚は融解時もこのステージであり、移植までの数時間の間に回復していきます。このとき、観察を行うタイミングによって、収縮している状態であったり、そこから回復して脱出している状態であったりと差が出ます。移植当日のご説明時にグレードが変化しているのは、こうした動きの一端を見ているためです。
よくある質問
グレードが低い胚は移植しないのですか。
グレードは移植する順番を決める指標であり、移植の可否を決めるものではありません。妊娠しやすい胚から順に移植していきます。
胚盤胞と初期胚のどちらで凍結しますか。
当院では通常5日目または6日目の胚盤胞で凍結しますが、治療方針によっては培養開始から3日目程度の初期胚で凍結することもあります。