- 2019年4月25日
- 2026年9月8日
着床しない原因を調べる検査|ERA・EMMA・ALICE・子宮内フローラ検査の違い
胚移植を繰り返しても妊娠に至らない場合に、子宮内の環境を調べる検査があります。ERAは胚を受け入れる時期のずれを、EMMAは子宮内の細菌の構成を、ALICEは慢性子宮内膜炎の原因菌を調べます。3つは同時に実施できます。
3つの検査でわかること
| 検査 | 調べるもの | 結果でわかること |
|---|---|---|
| ERA(子宮内膜着床能検査) | 子宮内膜の遺伝子発現 | 胚を受け入れる時期(着床ウィンドウ)のずれ |
| EMMA(子宮内マイクロバイオーム検査) | 子宮内の細菌の構成 | ラクトバチルス属の割合 |
| ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査) | 慢性子宮内膜炎の原因菌 | 効果的な治療薬の選択 |
| 子宮内フローラ検査 | 子宮内の細菌叢 | 細菌環境のバランス |
ERA(子宮内膜着床能検査)
ERA(Endometrial Receptivity Analysis)は、着床ウィンドウと呼ばれる、子宮内膜が胚を受け入れる最も適した時期を、子宮内膜の遺伝子を解析することで評価する検査です。子宮内膜の組織を少量採取して調べます。
胚移植を複数回行っているにもかかわらず妊娠しない反復着床不成功の方について、6〜7割の方に着床ウィンドウのずれがあるという報告が複数の不妊治療施設から出ています。当院のERAの結果も同様で、6割の方に着床ウィンドウのずれがあることが認められました(2019年時点)。
ERAで妊娠率がどれだけ変わるか
この点は正直にお伝えします。移植時期を修正した後の妊娠率について、大幅な改善はなく変化は少ないという報告が多く見受けられます。当院の成績も同様で、着床ウィンドウのずれが特にみられない方の妊娠率と比較しても大きな差はありませんでした。着床ウィンドウのずれだけが不成功の原因ではないということです。
一方で、当院で胚移植を3回以上行っても妊娠に至らなかった方が、ERAの後に妊娠されたケースも複数あります。有効な手段の一つにはなり得ると考えていますが、受ければ妊娠できる検査ではありません。検査を受けるかどうかは、これまでの治療経過をふまえてご相談ください。
EMMA(子宮内マイクロバイオーム検査)
ある研究では体外受精での子宮内膜における常在菌であるラクトバチルスの占める割合が90%以上確認できた人では妊娠率が高かったという報告があり、EMMA検査では子宮内に存在するラクトバチルス属の割合や子宮内に多く存在する一部の細菌の割合を調べることができます。
| ラクトバチルス属が90%以上 | ラクトバチルス属が90%未満 | |
|---|---|---|
| 妊娠率 | 70.6% | 33.3% |
| 妊娠継続率 | 58.8% | 13.3% |
| 生児獲得率 | 58.8% | 6.7% |
出典:American Journal of Obstetrics and Gynecology
この数値は研究報告のものであり、当院の実績ではありません。
ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)
ALICE検査では着床障害のリスク要因と考えられている慢性子宮内膜炎の原因菌を検出することができ、子宮内膜炎の効果的な治療薬を選択することができます。
これらの検査を行い、結果に応じた治療で子宮内の細菌環境を整えてから胚移植に臨むという進め方は、反復着床不全に対する選択肢の一つです。
検査の組み合わせと費用
EMMAとALICEはERAと同時に実施できます。3つをまとめたTRIO検査もあります。
| 検査 | 先進医療として実施する場合(税抜) | 自費診療の場合(税込) |
|---|---|---|
| ERA | 129,200円 | 142,100円 |
| EMMA+ALICE | 69,300円 | 76,300円 |
| TRIO(ERA+EMMA+ALICE) | 該当なし | 183,700円 |
| 子宮内フローラ検査 | 50,000円 | 55,000円 |
| CD138検査 | 該当なし | 13,200円 |
ERA、EMMA/ALICE、子宮内フローラ検査は当院が先進医療として登録している技術のため、保険診療との併用が認められています。先進医療にかかる費用は自己負担ですが、東京都の不妊治療費助成の対象になります(要件あり)。費用は変更される場合がありますので、最新の金額は「治療費」ページをご確認ください。
着床や胚移植の流れについては「高度生殖補助医療(ART)」ページをご覧ください。検査の詳細については当院スタッフへお問い合わせください。
よくある質問
何回目の移植から検査を検討しますか。
当院では胚移植を3回以上行っても妊娠に至らなかった方で、ERA後に妊娠されたケースがあります。何回目から検討するかは治療経過によって異なりますので、診察時にご相談ください。
ERAを受ければ着床するようになりますか。
なりません。移植時期を修正した後の妊娠率について、大幅な改善はないという報告が多く、当院の成績も同様です。着床ウィンドウのずれは、着床しない原因の一つにすぎません。
3つ同時に受ける必要はありますか。
同時に実施できますが、必ず3つ受ける必要はありません。TRIO検査は183,700円(税込)です。どの検査が必要かは治療経過から判断します。