• 2019年10月31日

雑談-ストレスと不妊について

こんにちは。培養部です。
はじめに正直にお伝えしておきます。
患者の皆さんは最近の病院の待合室の混み具合でなんとなくお察しのことと思いますが。
ここ最近、台風があったり連休が続いたりと、その影響で診察が偏ったためか なかなか忙しく、今回はネタがありません。今回は培養士のただの雑談の回とさせて頂きます(笑)ご容赦ください。

さて忙しいなかでも一応なにか活動しなくてはということで
先日、以前にもこのブログで書いたと思いますが、大学のOBや大学時代の教授と定期的に行う勉強会に参加してきました。

開催頻度はまちまちなのですが、いまは月1くらい集まれることを目標にしていて、
培養士だけでなく他の分野に就職した方々も参加することがあります。

勉強会といってもかなりラフで、レンタルオフィスのような一室を借りて、ご飯やお酒を持ち寄って気楽に和気あいあいと、といった感じです。
内容として、いわゆる大学のゼミのように、それぞれ持ち寄ったテーマについてデータや資料を持ち寄って話し合ったり、別の大きな学会などでの研究発表を控えている人が発表練習や内容について意見交換したりするわけです。

が。正直これがけっこう大変です(笑)
なによりみなさん忙しいし、家庭のこともあるので予定を合わせるのも一苦労です。

ただ社会人になってからというもの、日々の忙しい日常に追われてしまい、
朝起きてー朝ごはん食べてーごみ出してー通勤してー仕事してー帰宅してーご飯食べてー風呂入ってーねてーおきてー…
ついついそのルーティンをこなすだけで、思考が凝り固まってしまいます。

まぁ行動をルーティン化するのが脳にとっては一番負担が少ないので、忙しい日々をこなそうと思ったら必然なのですが、われわれに培養士とってはちょっと危険です。

というのが、わたしたち不妊治療分野はまだ歴史が浅いこともあり、業界的にも未成熟なところが多くて。培養技術や使っている機器・機材にはじまり、けっこう大事な倫理基準※や法整備にいたってまで、まだまだ発展途上で、毎年のように更新されています。

※前回わたしがblogで書いた不妊治療分野における倫理指針(2018年6月14日 タイトル:倫理講習会を受講してきました)

ということで、日々気が抜けなくて、普段から脳を動かして、つねに新しい物事を吸収する準備がしてないとマズイわけですね。だからってわけかはわからないのですが。培養士って好奇心旺盛で柔軟なマインドを持った方が多くて、良くも悪くも普通の社会人と少し違ったし思考をしていて、話してみるとわりと面白いですよ。
ですからもし当院に通われている方は培養士にお会いする機会があれば気軽に相談がてら話しかけてみてください。
われわれも脳の刺激になってよいですし、患者様自身も気分転換にもなるし、日々の治療も疑問が解消されて、ようするにストレスから解放されて、治療効率もあがると思います。

ストレスって具体的には、精神的・肉体的な負担からコルチゾールという物質が分泌されている状態なんです。
コルチゾールはいわゆる「ストレス」を受けると副腎から分泌されるホルモンで、アドレナリンなどを分泌させるなど身体を緊張させるときに必要なものです。コルチゾール自体は身体にとって必要なホルモンなのですが、過度の「ストレス」を受けた場合、これが過剰分泌して慢性的に分泌し続けてしまうわけですね。これがいわゆる一般的な「ストレス」にさらされている状態とされています。

このコルチゾールの慢性的な過剰分泌が身体にとって良くなくて
血糖値の上昇から免疫力が低下したり、脳の覚醒作用から睡眠不足になったりします。
またコルチゾールの過剰分泌によって、同じ副腎から分泌される男性ホルモン(女性だと後に卵巣、卵胞の影響でエストロゲンに変換されるホルモン)などの分泌も阻害するんです。
そうなると例えば体外授精のために卵胞を育てている方の場合や、男性の精液所見などにも影響があるわけです。
以前こちらもblogで書きましたが、不妊症の4大悪(喫煙、不眠、肥満、飲酒)のなかにしっかり抵触しているわけです。

ということは
ストレス →慢性的な緊張状態 →ホルモン分泌阻害 →不眠 →不妊
ということは十分に言えますし、あと ストレス →血糖値上昇 の構図が
肥満 →インシュリン(血糖値を下げる)需要能力の低下 →血糖値の上昇 →細胞の裸老化促進 →不妊 (女性の場合さらに 肥満 →脂肪が卵胞発育阻害 →不妊) の構図と同じです。

つまり間接的に ストレス=不妊が成り立つわけですね。

これらの解消方法としては簡単に「運動」「良質な睡眠」「糖質制限(精製糖が×)」があげられますが、
適度な運動によって、酸化物質による細胞の老化と肥満を解消できます。ストレス低減も期待できますし、適度な疲労感から良質な睡眠も確保できます。

あと最近の流行りではビタミンDですね。
ビタミンDを摂取することでコルチゾールを抑えて、睡眠の質を大きく改善してくれる効果があるのですが。ビタミンDは不妊治療に良い影響を与えることは広く知られています。当院に通われている方でも飲んでいるひとをよくみかけます。
もちろん不妊治療に関係ない人でもビタミンDはかなりおすすめですよ。
現代人は寝る前のスマホとかで常に緊張状態にさらされているのでなおさらです。
わたしも普段飲んでますが、かなり良いですよ。

さて、とりとめもないお話をしましたが、
いま体外授精の治療を取り組んでいる方にお伝えしたいのは、あまりストレスを感じて生活をしてはよくないということです。
とはいえ不妊治療中だと、通院の負担や治療結果など、ストレス要因がありすぎて大変だと思います。とにかく治療に対してあまり深く考え込まないことが一番みたいです。ここがものすごく難しいと思うのですが。
趣味を楽しんだり、疑問に思っていることは全部解決したり。

そのためにもわたしたちは全面協力しますので、そういう意味でも何でも相談してください。

培養部 SAKAMOTO

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