• 2024年2月13日
  • 2024年2月14日

新しい精子調整法

こんにちは。培養部です。

今回は当院でも今年から導入することになった新しい精子調整法をご紹介します。

この新しい精子調整法は「マイクロ流体技術を用いた精子選別」といいまして、先進医療の対象となっており、その効果が期待されています。

特徴①特殊なメンブレン(膜)構造

目の細かい膜を通過させることで、運動性が高く良質な精子と奇形精子・運動性の低い精子を物理的に分離できます。また、不純物(繊維や結石等)も取り除くことができます。

特徴②不純物の除去によるダメージの軽減

不純物が原因の活性酸素による酸化ストレスのダメージを軽減し、精子DNA断片化や運動率低下を防止できます。

特徴③精子への負担軽減

良質な精子は上に泳いでいくという性質を利用して回収するため、より自然に精子を回収することができます。精子への負担を軽減することで、精子DNAが物理的に損傷するのを防ぐことができます

従来法との違い

従来の精子調整方法と何が違うのかというと、従来法は遠心分離器に何度もかけることで、遠心力によって精子とその他を分離していました。近年の研究で精子を遠心分離することで精子に圧力がかかり、少なからず精子のDNAにダメージがあることが分かりました。

この新しい方法は DNA 損傷を極力抑えるようにして精子を選別することができるところにポイントがあります。

最近の研究によると、精子の頭部には遺伝情報であるDNAが含まれており、精子のDNAに損傷(断片化)があると、精子の質が低下し、自然妊娠や人工授精、体外授精での妊娠率が下がってしまうので、以下に精子にダメージを与えずに扱うかというのは大変重要です。

【従来法】

作業工程が多く、遠心分離によるダメージが少なくない。

【マイクロ流体技術を用いた精子選別法】

目の細かい膜を通過してきた精子だけを回収する。自ら泳いでくるのでダメージがない。

資料参考: TOKIBO CO.,LTD
資料参考: TOKIBO CO.,LTD

精子処理を新しい調整法に変えるだけで、従来の密度勾配遠心分離法と比較して

1.精子DNA断片化率、2.着床率、3.臨床妊娠率、4.継続妊娠率

などの項目において、良好な結果が得られたという報告があります。

当院ではこの新しい精子調整法を体外受精を受けられかたを対象に実施しておりますので、これまでよりもさらに妊娠の可能性が高くなることが期待されます。

今後も当院ではこういった最先端の技術を積極的に使っていき、妊娠率の向上を目指していきます。

培養部 SAKAMOT

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