• 2021年9月8日
  • 2021年9月23日

AHAの種類について

孵化補助術(Assisted Hatching:AHA)の種類について

こんにちは、今回のブログは培養部からとなります。

生殖補助医療の中の一つに孵化補助術(Assisted Hatching:AHA)と呼ばれる技術があります。

受精卵は透明帯と呼ばれる卵の殻のような役割の物に守られています。子宮内膜に着床するには透明帯を破り脱出しなければなりません。(この現象を孵化と呼びます)

この孵化が何らかの原因で阻害されると着床せずに不妊の原因となります。そこで人工的に透明帯の一部を開孔し孵化を手助けする技術が孵化補助術(Assisted Hatching:AHA)です。

現在当院ではレーザー法によるAHAを行っております。詳しい方法については以前のブログでご紹介しましたのでそちらをご覧になって頂ければと思います。

AHAに関しては、患者さんより以下のような問い合わせを受けることがあります。

「どの方法でAssisted Hatchingを行っていますか?」

AHAの技術は、より簡便でより受精卵に影響を与えない方法を確立するべく様々な術式があり、施設によって用いられる術式は様々です。

そこで今回はAHAの術式の紹介とそれぞれのメリットデメリットをご説明します。

①ブレード法

カミソリの刃のような器具を用いて物理的に透明帯を切開する。

メリット:必要とする器具・機器が最小限度で済む。

デメリット:精密な操作が困難であり、アバウトな切開しかできない。

②酸性タイロード法

たんぱく質を分解する薬品を用いて、化学的に透明帯を開孔する。

メリット:透明帯の一部ではなく全体を菲薄することができる。

デメリット:強酸性の薬品を用いるため、胚への化学的影響が大きい。

③透明帯部分切開法(PZD:partial zona dissection)

約200倍の視野の顕微鏡下にて、細いガラス針を用いて物理的に透明帯にスリットを入れる方法。

メリット:精密な手技が可能である。薬品等を用いないため受精卵への影響が少ない。

デメリット:技術の習得に時間がかかる。(熟練した培養士が必要)

④レーザー法

レーザーを照射して透明帯を開孔する

メリット:施術はパソコンでの操作のみであるため、高い技術を必要としない。

デメリット:レーザー照射の際に熱が発生する。導入コストが高い。

4種類の術式を紹介しましたが、どの方法も一長一短な部分があります。現在はトータル的に優れているレーザー法が広く普及しています。

以上、簡単でしたが孵化補助術(Assisted Hatching:AHA)の種類のご紹介と説明でした。

皆様が安心して治療が受けられる助けになれば幸いです。

培養部 Nakamura

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