• 2020年8月31日

NHKの番組でコロナワクチン特集やっていました

こんにちは。培養部です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
先週はクリニック改築工事のため、休診となっておりましたが
その間に診察室が1部屋、増設されました。

これまで診察室の待ち時間で患者様をお待たせしていたこともありましたが、
今後はよりスムーズにご案内ができると思います。

さて今回は、先日2020年7月23日にNHKで新型コロナウィルスについて特集された、
「BS1スペシャル▽新型コロナ挑み続ける研究者たち~東大 河岡ラボ100日の記録」
という番組が放送され(8月17日再放送)ました。少し前の放送になりますが、新型コロナウィルスのワクチン開発の最先端の現場の最新情報についてまとめられた、大変興味深い内容でしたので、ご紹介したいと思います。

この番組は、新型コロナウィルスのワクチン開発研究をしている、東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウィルス感染分野の河岡義裕 教授に密着取材するといった内容です。
河岡先生の研究室では、これまでも世界最先端の研究を行っており、1999年には「リバースジェネティクス法」を開発し、インフルエンザウィルスの人工合成を成功させました。いま世界中で実施されている、インフルエンザの予防接種は河岡先生たちの功績です。また、近年ではエボラウィルスのワクチン開発にも携わるなど、数々の実績があります。

※インフルエンザウィルスの予防接種
インフルエンザウィルスは絶えず変異するため、常に異なる株のワクチンを作り続ける必要がある。日本では毎年、世界各地で流行したウィルス株のデータを持ち寄り、来シーズンに流行するワクチン株を選定する。しかし、ワクチン株と流行株の抗原が一致すれば、一般的には約70%の人に効果があるが、まれに予想が外れてワクチンが効かず、インフルエンザが大流行する年がある。(例えば2014-15年アメリカで流行したウィルス株とワクチン株の抗原が異なり有効性は23%のみであり、ピーク時は陽性検出率30.4%、肺炎およびインフルエンザによる死亡率は約7.4%だった(厚生労働省)。同年、総死者数:約50,000人 陽性者数約30,000,000人だった)。

番組はまだオンデマンドで視聴できるかもしれませんが、今回の番組の要点をまとめてみました。

①新型コロナウィルスに対して抗体は効果がある
・ハムスターを用いた動物実験
新型コロナウィルスに感染後に回復したハムスターの抗体を、別のハムスターに投与したところ、改善効果を示した。感染後Day1(感染直後など、体内に少量のウィルス)のみならず、Day2において(体内で大量に増殖した状態)でも、ウィルスの減少を認めた。
→直接抗体を投与、あるいは不活化ワクチン(人工的に毒性をなくしたウィルス)を投与し、体内に抗体を作ることで、新型コロナウィルスを予防および治療できる可能性が示唆された。

②ワクチン開発
・不活化ワクチン製造の過程を紹介
ワクチン製造には大量にウィルスを増殖させる必要があるが、新型コロナウィルスは従来の培地が合わなく、当初1/10程度の量しかウィルスを増やすことが出来なく、実験にかなり遅れがあった。しかし、2020年3~4月頃に最適な培地を発見し、3ヶ月の期間を経て、不活化ワクチンを作成することに成功した。
実際に動物で投与実験を行い、7月中旬ごろに不活化ワクチンによって効果があることを確認した。
→不活化ワクチンの製造・普及には通常、3ステップにもおよぶ、安全性試験を経て認証、実用化に至るが(通常3-5年以上)。現在、各国で異例のスピードで製造、使用許可の認証をさせており、安全性を確認する時間がないことなどで副作用の有無など面から、新たな問題が浮上する可能性がある。


ワクチンの副作用 (東京都医師会HPより)

③既存の抗ウィルス薬(レムデシビル)に継ぐ、更に上位互換の新薬を開発中
レムデシビル:エボラ出血熱などの治療薬として開発された。体内のウィルスの増殖を抑制する効果がある。2020年5月1日、アメリカ合衆国で緊急使用を認めた新薬であり、日本では「特例承認制度」を用いて2020年5月7日に正式に新型コロナウィルスへの治療薬として承認された。一本鎖RNAウィルス(コロナウィルス(MERSおよびSARSウィルスを含む))に対して抗ウィルス活性を示す。
※日本製の「アビガン」と成分は同じ、アビガンは2020年8月現在、新型コロナウィルスへの有効性を調査中でこちらは未承認。臨床研究という名目で全国の指定病院で処方は可能。
番組によると、河岡義裕先生は過去、抗ウィルス薬レムデシビルを開発研究したノースカロライナ大学のラルフ・バリック先生と共同研究をしていたとのこと。今は新型コロナウィルスについて、世界中の研究者同士でウィルスのDNA構造などの情報を共有し合って、研究をなさっているそうです。
これまでは違うラボの研究者同士が情報を提供しあうことはあまりなかったそうですが、いまは新型コロナウィルスに対して世界中で協力し合っているそうです。

いやあここまで最先端で活躍されている方々が日本にいらっしゃるとは。知りませんでした。
しかもそんな各国のすごい方々がみんなで協力し合って研究していたとは。たのもしいですね。この番組をみて、いまもなお研究がものすごいスピードで着々と進み、治療法が開発されていることが分かって、少し安心しました。

では最後に、もしいま自分がコロナウィルスに罹ったとして、いま実現可能な治療法を考えてみました。
①既存のウィルスと同様、抗体が有効なため、ワクチン投与で予防、あるいは抗体の投与
②抗ウィルス薬でウィルスの増殖を抑えつつ、自己免疫で治療
③重症化した場合は吸引タイプのステロイド剤の使用や人工呼吸器の使用で対処

①②③これらを併用すれば良いことになります。
早くワクチンの普及してほしいですね。

ただ、国によってはワクチン投与を開始しているところもありますが、臨床データが十分にとれていないため、われわれ日本人が受けられるのは、まだ少し先になりそうです。

いま感染者数世界1位のアメリカ(約5,700,000人/現在)の新規感染者数は減ってきているようですし、第2波は終息傾向にありそうです。

また今後は、先んじてワクチン投与始めた各国での結果報告が近々出ると思われますので、良い結果を期待したいですね。

培養部 SAKAMOTO

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