- 2019年9月14日
日本受精着床学会 講演会
こんにちは、培養部です。
いまだ暑さが残る毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私事ですが先月、新宿で開催された日本受精着床学会・学術講演会に出席してきました。
講演会の内容のなかで当院でも行っているERA検査(子宮内膜着床能検査)に関して幾つかとりあげられていたので少しここで触れさせていただきます。
ERA;Endometrial Receptivility Analysis(子宮内膜着床能検査)検査とは着床ウィンドウとよばれる子宮内膜が胚を受け入れる最も適した時期を子宮内膜の遺伝子を解析することで評価できる検査です。
いくつかの不妊治療施設の報告では胚移植を複数回行っているにもかかわらず妊娠しない反復着床不成功の方のERAの結果では6~7割もの方に着床ウィンドウのずれがあるようです。
当院のERAの結果も同様に6割もの方に着床ウィンドウのずれがあることが認められ反復着床不成功の方の多くに着床ウィンドウのずれがあることが分かりました。
しかし移植時期を修正後、妊娠率は改善されたとの報告もありましたが大幅な改善はなく妊娠率の変化は少ないといった報告が多いように見受けられました。
当院の成績も同様に着床ウィンドウのずれが特にみられない方の妊娠率と比較しても大きな差異はなく、必ずしも着床ウィンドウのずれだけが不成功の原因ではないようです。
ERAに基づいた着床ウィンドウの修正は妊娠率の改善は少なく、有効性は少ないと思われてしまうかもしれませんが当院で胚移植を3回以上行っているにも関わらず妊娠に至らなかった方がERA後に妊娠された方も多くいらっしゃるので治療の有効な手段の一つになるのではないでしょうか。
まだERAの件数は少ないので今後さらに症例数を増やして検討していきたいと思います。
培養部 SEKIGUCHI