男性不妊症の治療
男性手術(精巣内精子回収法(TESE)、精索静脈瘤手術)を含む男性治療に関しましては、当院と連携している銀座リプロ外科(泌尿器科)をご紹介させていただいておりますので、まずは当院にてご相談下さい。
精巣内精子回収法(TESE)
精巣内精子回収法(TESE)とは、男性の精巣から直接精子を採取する手術方法のことです。精液中に精子が存在しないケースで、精管再建(精子の通り道である精巣上体や精管の中が詰まってしまい精子が出てこられない状態にあるとき、詰まっている箇所を再開通させる手術)の適応でない場合に顕微授精を目的に行われます。
精巣内精子回収法の適応
精液中に精子がまったく存在しない状態を無精子症と呼び、次の2つのタイプに分類されます。
1つめは、「閉塞性無精子症」と呼ばれるタイプで、精巣の中では精子が作られているのに、その通り道が塞がれているために精子が通過できず、受精しない状態です。この場合、精巣では精子が作られているので、精巣内精子回収法によって精子を採取すれば(回収率約90%)、顕微受精による妊娠が可能になります。
2つめは、「非閉塞性無精子症」と言うタイプです。こちらの場合も、精液中に精子が見つからなくても、精巣の中にわずかながら精子が存在する可能性があります。閉塞性無精子症に比べると、やはり妊娠は困難になりますが、精巣内精子回収法で精子を見つけることができれば、妊娠の可能性が生まれてきます。
顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術
精索静脈瘤とは精巣や周りに静脈のこぶが認められ、精巣から心臓にもどる血流が良くない状態のことです。精索静脈瘤は、一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%以上に認められます。
精索静脈瘤があると精液所見の悪化や精巣萎縮の原因となります。妊娠を希望されているご夫婦において精索静脈瘤の手術を行うことで精液所見は51%~78%改善しています。
精索静脈瘤に対する手術を行うことで精子のDNA損傷の改善が認められるという報告もあり、自然妊娠のみではなく人工授精、体外受精、顕微授精を行うご夫婦においても有効と考えております。
性機能障害の治療
ED(勃起不全)
ED(Erectile Dysfunction)とは、「勃起しない、または勃起が持続しないために満足な性交ができない状態」のことを言います。
「完全に勃起できない」ことだけを指すわけではなく、「勃起に時間がかかる」「途中で萎えてしまう」「満足のいく性行為ができない」と感じる人は、いずれもEDの疑いがあります。
現在、ED治療には良い薬(勃起を促す補助薬)がいろいろ開発されています(バイアグラ、レビトラ、シアリス、シルデナフィルなど)。
ご要望も考慮しながら、個々の患者様に最も適した薬を処方いたします。
射精障害
射精障害とは、何らかの原因で射精ができない、または精液が出ない、あるいは適切なタイミングで射精ができない状態を指します。射精障害は、男性不妊の原因にもなり得るものです。下記の4つの射精障害が代表的です。
こうした射精障害にお悩みの方は、恥ずかしがらずに、お気軽にご相談ください。
腟内射精障害
マスターベーションでは射精できるものの、性交時、腟内に射精できない状態であり、不妊の原因になります。マスターベーションによる感覚と腟に挿入した時の感覚が違うために腟内で射精できなかったり、性交時に自分の性的感覚に集中できなかったりして起こってきます。治療としては、マスターベーションの方法を変更し、また自分の性的感覚に集中できるように練習します。
早漏/遅漏
早漏とは性交時に腟に陰茎を挿入してすぐに射精してしまう状態を言い、遅漏は射精までの時間が長くなり過ぎてしまう状態を言います。つまり、いずれも射精までの時間を自分でコントロールできない状態です。早漏の治療には、陰茎を刺激し、射精の予感がする前に刺激を中断する方法を3回行い、4回目に射精する「ストップアンドスタート法」で訓練しながら、抗うつ薬(SSRI)を併用する方法などがあります。遅漏は薬の副作用が原因で起こることがあります。特に、抗うつ薬の服用によって突然遅漏になることがあり、この場合は抗うつ薬を止めれば、回復します。
逆行性射精
射精時に尿道を逆流して、おしっこを溜める膀胱の中へと精液が出てしまうことです。射精感はあるのに、精液が出ない状態です。糖尿病の患者さんに多く見られるのですが、アモキサンという抗うつ薬がとても効果的です。
神経因性無射精
射精には交感神経(活動的な時に働く神経)の力が大きく関与しているため、脊髄損傷などにより、この交感神経が損傷を受けた患者さんによく見られます。